クリエイティブの現場はどうなっている?--米AKQAとのチャットミーティング
そもそものところwebデザイナーって、webの業界っていけてるのか?どの辺までいけるのか?
ということが以前より社内のデザイナ陣でも話題になっていました。
先日、バスキュールと他の著名なクリエイティブ会社との話し合いでそこのところを探っていけないかという目的で、サンフランシスコに拠点をおくインタラクティブエージェンシーAKQAとバスキュールのデザイナー5名でビデオチャットミーティングを行いました。
そのログです。
AKQAとのチャットミーティング 2008.10.29
日本10:00-11:30 サンフランシスコ18:00-19:00
AKQA
・稲本零さん GECD(クリエイティブディレクター)
・高橋朗さん ACD(アソシエイトクリエイティブディレクター)
・飛田真代さん (デザイナー 以前バスキュールに在籍)
============================================
日本のWEBは海外ではどう受け止められているのでしょうか
============================================
●レイさん
日本の作品の質は高いし評価高いですね。海外で通用して認識もされている。
デザインも細かいところに手が行き届いている。正直言ってアメリカ人は手先が不器用なんです。
日本人は勤勉で、器用。言われなくも動いてくれるし。スウェーデン人も気質が似てるかも。
アメリカの人は本当にこれをやってほしいんだって言わないとやってくれないからね、
AKQAで一番働いているのは、やっぱり日本人です。
最近の日本で注目されているものといえば、具体的にいうとUNIQLOの仕事。
中村ユウゴさんがやっていたときからもだけどPROJECTORのUNIQLOの仕事は注目されています。
3.4年前くらいまでは例えばジョシュア・デイビスとかFLASHだけのサイトで話題になったりしたけど、
今アイディアとして面白いもの、またはWEBだけに留まらない展開があるものがいい。
古いけどエコトノハはキャンペーンとしてもFLASHの技術としてもバランスがとれていたと思います。
============================================
日本のクリエイティブの現場ではなかなか残業なしでは難しいですが、
AKQAはきちんと朝9時から18時までの残業をほとんどしないで
仕事をこなしていますよね。その心構えとか秘訣があったら教えてください。
============================================
●レイさん
スタッフィングを決める立場として、スケジュールを1日24hあると思って
曖昧な感じではぜったいにひきません。1週間は月曜から金曜の5日間で×1日8時間、
誰もが40時間で終わるようにスケジュールを組みます。
自分の仕事のスタイルとしては、仕事のデスクの前でしかメールを見ない。
ケータイにも転送しない。他では見ないし、返信しないというスタイルをつくって
まわりにもそういうスタンスで仕事をしてることを知ってもらう。
コンタクトをとるのもその時間のみだとスタッフを甘やかさないようにしています。
=================================
制作のインスピレーションはどこから得ますか
=================================
●レイさん
うちのオフィスが6つに別れているから、お互いに内部で競争していて
それがいい刺激が有ります。
5年ぐらい前なら人の作品を見たりしていたけど今は見ないですね。
何か作品をみても、結局そこまでしかレベルがあがらないでしょう?
今はFWAをみても頭打ちになってきている感じがします。
全部が同じレベルに達してきて、同じぐらいのレベルのものを
違う会社が代わりばんこに作っているというか。
うちの会社はウェブだけの仕事じゃないし、それ中心の考え方になってしまうので
ウェブだけというのは見ないようにしています。
●アキラさん
僕はプロダクト、建築からインスピレーションをもらうことが多いです。
触れるものをどう触れない環境の中に落とし込んで伝えるかという仕事なので、
その時にリアルに触れるものはアイディアをいっぱいくれますね。
========================================
内部のコミュニケーションもですが、特に外注先と同じ目標を
目指すまでの意思疎通が難しいと感じています。
そういう経験やそれどうを埋めていくか何か方法がありますか?
========================================
●レイさん
やっぱり初めて発注するところだとコミュニケーションとるのに時間がかかりますね。
お互いの期待値のレベルにギャップがあるので、期待はずれも本当によくあることです。
●アキラさん
頑固に、妥協しないで外注先に希望を伝えていくしかない。
すべて丸くうまく進めようとしてもなかなかそうならないので
ダメな時はダメだときちんと伝えたり、やり直しが必要な時はしてもらったり。
僕が忙しくてAKQAの中では珍しく残業してしまうのは、
自分でここまでのレベルのものをつくって!ていうものを作ってしまうから。
でもそれ見せて刺激を受けて動いてくれるならその方がいいし、
やってくれないところはそれまでの外注先ってことだし。
相手を刺激しながらコントロールしていくのがコツかな。
========================================
海外で最近話題の仕事を教えてください
========================================
○NIKE PHOTO ID
AKQAの仕事
ケータイで撮った写真をMSNで送るとその写真の色を解析して靴の色を送ってれる携帯のコンテンツ。
モバイルだけで完結するのではなく、モバイルをつかってどうつなぐか、ということが重要。
○FACE BOOKのアプリケーション(ガジェット)
誰かが入れると他の人(友達とかつながりのる人)に一斉に「○○を入れました!」とメッセージがいくので口コミで広がりやすい。
ブランド側としてはメディア費がかからないで口コミで広がっていくので最近はどこでもface bookのガジェットを作りたがる。
==============================================
社内のコミュニケーションはどのような方法でとっていますか?
==============================================
●レイさん
僕自身はメールは嫌いで、順番として 直接話す>メッセ>メール>会議。
直接話したほうが早いし無駄がないから。
会議も苦手、人あつめるのに10分、今日の議題決めるのに10分、話はじめるのに10分ってかかっていると、始める頃にはもうお腹すいたねってなっちゃう。
でもこれだけの人数がいる会社だと、席が遠かったりするし会議は必要なんだけどね。
●とびたさん
仕事とは関係ないものすごいくだらない内容のMLも飛び交っているので、興味をもっていることとかがわかりやすい。
バスキュールはけっこう真面目なMLだけど、今日なんかはペットの仮装についてとかがながれてました。
================================================
日本でなく海外で働こうと思った動機やきっかけなどを教えてください
================================================
●とびたさん
英語で自由にコミュニケーションがとれる憧れがあって。
またアニメーションを触るようになってアメリカの映画業界をもっと知りたかった。
日本人の特性をいかして仕事がしたいと思ってます。
●あきらさん
大学からアメリカにいきあたりばったりで行った。
でもアメリカではネイティブではなく、英語を学んでから話せるようになった人ばっかりで、
そういう英語でも通用するし、重要なことをまかされたりする。
海外にいきたいという意思さえあれば誰だって来れるはず。
●レイさん
もう長いからな。。。手に技術さえあれば、日本人は器用だしぜんぜん海外で通用します!
===========================================
バスキュールでも最近バイラルムービーを作る機会が多いのですが、
バイラルムービーについてどうお考えですか?
===========================================
●レイさん
AKQAでやったNIKEのバイラルムービーで700万人くらいの人が見てくれて、
それだけ多くの人に見てもらえるのは方法としてはいいと思う。
クライアントはメディア費を支払わなくていいから、安くていいと思っている。
でも、それがどれだけ見てもらえるかは賭けみたいなものだから、あまりオススメはしません。
僕たちはバイラルありきで仕事はスタートしません。
まず課題のいろいろなソリューションを考えます。ウェブがいいのか、イベントがいいのか、プロダクトでなんかやったほうがいいのか、、、。
最初の課題が何なのか突き詰めた結果のバイラルムービーでないと。
================================================
できるデザイナー像てどういうものだと思いますか?
================================================
●あきらさん(ACDという立場で)
デザイナーに求められるのは柔軟性だと思う。アーティスト性とデザイナーの二つのバランスをとらせるのが難しいです。
アーティストの様な一つのスタイルがあるとどの案件にもはまるわけではないし、でも会社としてNIKEとかでとことん尖ってくれって時に
尖ってたのを丸くしてもダメだし。ACDとしてどこの牙を研いで、どの牙を丸めるかということをよく考えます。
●レイさん
基本のデザインができたら紙もウェブも携帯も同じだと思うけど、それを柔軟に応用できる人は少ないですね。
本でも1ページ作ったら、それを何百ページ展開できるよう先を見据えてデザインする力が必要だと思います。
=====================================================
バスキュールではデザインをやり、flashもやるという人もいます。
AKQAではデザインとFLASHをやる人は組織として完全に分かれていると思いますけど
FLASHを自分の領域にしないデザイナーのスタンスについてどう思いますか?
=====================================================
●レイさん
デザインやる人で動きまで考えて作れる人が少ないですね。だから、そういう人は是非ほしい。
とびたさんはそれができるからすばらしい。FLASHをやる人にもほめられるようなスクリプトを書いているし。
●あきらさん
どちらかに秀でるか、どっちもやってしまうのか。個人の価値観だったり、人生の考え方もあるので永遠の議論だけど、、、。
どうデザインするかの考え方もありますね。広告としてデザインをどう落とすかを突き詰めるか、1つの1種類の分野のデザインだけを突き詰めるか。
常々広告とデザインの間にあるギャップをうめたい。僕もできないながら、やろうとしているところです。
=================================================
時間がせまり、終了。3人ともお忙しいところ、ありがとうございました!
■ミーティングの感想
全体的にミーティングというより、インタビューになってしまった感が強かったのですが、
盛り上がってきたところで時間切れになってしまい、
こちらも終了したあとに、きいたことでうかんできた質問や、
今後AKQAはどういいう方向で進むのかなどの話まできけなかったので
AKQAのみなさんとも話し合って、第2回目をすることにしました。
またその様子をここで公開したいと思います。
バスキュールとは会社の規模なども全然違うので、同じように比べられることはできませんが
AKQA(を牽引している稲本さん)の姿勢や、働き方などを聞くことも面白かったのです。
face bookの盛り上がりとかは日本にいては実感できない話でしたし、為になる話を沢山聞けたと思います。
どのようなデザイナーだと会社にとってよいのか、頭ではわかっていたことだけど、改めて聞くと心がひきしまる思いがしました。
コメント一覧